2002.8.15.

戦慄のN病院

ｸﾛﾌﾈゴーストハンティングチーム・ｸﾛｽﾈ

今思えば、それはバイトも終わりかけた22:30頃にSが店に来た時から始まっていたんだ。

俺は本当に何気なく奴を、『どうせなら閉店までいろよ』と誘い、
一緒にバイトに入っていたAも誘って、
バイトが終わってから飯を食べることにした。
バイトが終わり3人でコンビニに寄って弁当を買い、Sの家で食べた。

きっかけは何だったのかわからないが、何故か心霊スポットの話題になり、
『これから心霊スポットを攻略しよう』とまで話は進んだ。
最初は冗談だと思っていたが、ネットを使い近隣の心霊スポットを調べていると
T県のN町に潰れた病院があって、そこは有数の心霊スポットであるらしい、
ということがわかった。

その場所なら行けない距離でもない…
3人はT県N町の、とある廃病院に向かう事にした。

N町までの車中は、3人共これから起こる事など知らずに、
楽し気な話題が占領していた。
実際、3人とも未知なところを探検したがる小学生の時のような心持だったと思う。
知らない場所に行くスリルとそういう行為をしている高揚感が楽しい、
みたいな雰囲気だった。

車がN町に入ると、それまで人工の光でとても明るかった道路とは打って変わり、
外灯もまばらで、両脇にはうっそうとした木々が茂る道に変わっていた。
車中もそういう雰囲気を自然と察知してか、急に静かになっていた。

インターネットで調べた大雑把な地図では、病院の詳しい位置がわからず、
俺達はしばらくその病院の付近だと思われる森を、車から降りて歩いて探し回った。
大きな月が明るいせいで真夜中過ぎだという意識はあまり持てなかったが、
時計の針はもう既に2時を大きく回っていた。

その大きな森の中で俺達は、不審な小屋を見付けた。
最初はエロ本の販売機（Ero-Stand）だろうと思っていたが、
良く見るとそれはESではなく、農具等を入れておくための小屋だった。
こんな寂しげな場所にESなんかがあるわけがない。
大体、こんな森の中のESにエロ本を買いに来るなんて、
そいつはどんだけスケベなんだ?!

歩いて探しても目的の廃病院は見つからなかったので、
近くのコンビニへ行き道を聞くことにした。
店員は、病院の事を聞かれ慣れているらしく、すぐに地図を書いて教えてくれた。
地図を見ながら再び来た道を戻り、その病院に続く細い道に到着した。
そこはさっき俺達が歩いていた森の反対側だった!!

車を道の端に止めて降り、廃病院までの道を歩いていると、
3人の若者達に遭遇した。
普通の人間達を見つけた事に少し安心した俺達は彼等に話しかけてみた。
すると、彼等は地元の高校生だという。
高校生達はN病院の入り口まで行ったが、
誰もいないはずなのに女の人の声が聞こえてきたので
慌てて引き返してきたところだという。

余計な先入観を与えられたｸﾛﾌﾈゴーストハンティングチーム・ｸﾛｽﾈの3人は、
地元の高校生達を心強い同志に、いざ病院へ!!

病院に続く柔らかい土の道を6人は歩く。
そして遂に今は廃墟となってしまった病院が目に飛び込んできた。

4階建てのその廃墟は、窓のガラスや、入り口のドアなどが全部取れていて、
がらんとしていた。
俺は、それがあまりにも廃墟という感じがして嫌だった。

いよいよ俺達は、以前は正面玄関だった面影の残るところまで来た。
病院だった建物に踏み込む前に外から懐中電灯で中を照らし、様子をうかがう。
すると病院の中で何かが一瞬光って消えた。
6人全員がその光を見た。
俺は鏡に懐中電灯の光が反射したのだと思っていた。

しかしその光った場所をもう一度照らしてみても、
そこに鏡はなかった!!

6人の思考は一瞬完全に停止し、直後には混乱が訪れた。

6人は、人の気配など全く感じられない廃墟に呼びかけた。
そうせずにはいられなかった。
混乱が意味するものを理解などしたくなかった。
何でもいいから生命的な反応を期待していたが、
廃病院は不気味な静けさを返すだけだった。

戦慄が走る……

すると突然中から男の声がした!!

俺の身体は、まさに反射的に病院とは逆の方向へ駆け出していた。
他のみんなも同じようにその場から走り出して逃げた。
訳も分からず走り出していた俺はその途中、
雨で崩れやすくなっていた土の小さな山に足を取られ、思い切り転んだ。

　『終わった』

と思った…

この話の結末はきっと聞かない方が良いと思う。
だけど、俺達ｸﾛｽﾈは全員無事だし、高校生達にも何も無かったと思う。
もし話の続きが気になる方がいたら、
ｸﾛﾌﾈゴーストハンティングチーム・ｸﾛｽﾈまでご一報下さい。

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怖っ!!

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